第1章

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祖母の家に遊びに行った帰りの地下鉄に乗って、一人で帰っていると…部活の合宿帰りの団体が揃って私が座っている車両に乗り込んで来た。 「いやぁ、だるいわ。」 「お前は不謹慎過ぎる。 もっと節度を持ってだな…。」 「ビスケット残ってるけど食べる?」 部活と分かったのは全員他校とはいえ、制服姿だったからだ。 画材などを持ち歩いているあたり、美術部かもしれない…さしずめ合宿帰りの部活の現地解散というところか。 しかし、全員個性が際立ったイケメンばかり。 なぜか、爽やかな文化系の男子高校生が私の近くに集まっている。 4人いて、一人は無言。 「…あの、よろしければここ…どうぞ?」 なんか世界が違うので、少し離れることにした。 「いや、女の子を立たせて自分らだけ座るとかありえないでしょ?」 「ねぇねぇ、君…見かけない顔だけどどこの子?」 「こら、見知らぬ相手に気安く話しかけるな。 どう見ても市外の人間だろ。」 「…。」 席を譲ろうと声をかけたら、4人のイケメン男子に囲まれた。 そのまま、地下鉄は発進。 「なるほど…市外からね…。」 「はい、祖母の家に遊びに行った帰りで。」 私はチャラ男子を中心に見知らぬ相手と他愛ない世間話に興じた。 もともと内向的だが、旅の恥はかき捨てである。 行きずりの旅路でにわかモテ期に突入しても、あとには残らないだろう。 「あの…座らせて頂きありがとうございました。」 「いやいや、俺たちも楽しかったよ。 気をつけて帰るんだよ。」 それから5分後、すぐに私は目的の駅に着いたのでお礼を言って降りた。 その時、ふと考えるのだ…もう少し私に話術力があったらもしかしたら連絡先を交換出来たのかもしれない。 夏の青春に、遠距離彼氏が出来たかもしれない。 そう考えると、少しだけ悔しいパイナップルのような甘酸っぱい気持ちになった。
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