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会社帰り
いつも最後まで仕事をしている彼。最近は私も総務の仕事が終わらず、帰りが同じぐらいになることが増えた。一緒に会社を出るけれど、とろい私は車に乗って、車を発進させるまでに時間がかかる。その間に、彼は車でスーッと会社から出てしまい、ちょっと寂しく思った。待ってくれたら嬉しいのになんて我儘な私は思ってしまうのだ。ところが。会社を出てすぐのところに彼の車が停まっている。
?
どうかしたのかな?
心配になりながらも通り過ぎる。すると待っていたかのように彼が私の後ろをついてくる。そんなことが何度か続いた。
私は思い出した。
「私、遅いから、後ろから速い車がベターっとくっついてくると恐いんだよね」
と彼に以前言ったことを。
そうか。それで彼は私の後ろにつくためにこうしているのか。
私の心が温かくなり、思わず笑んだ。
彼は口には出さない。けれど、行動で愛情を示してくれる。
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