クリスマスが近いのに

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無事に終わったと彼に電話をすると、お弁当でいいから買って持ってきてと言われた。山の中の小さな会社だ。近くにコンビニもない。私は自分の分も弁当を買うと、車を走らせた。彼は余裕のない顔をして仕事をしていた。彼の他には誰もいない。こんな山奥で怖くないのだろうか。 「ありがとう」 彼は食べる時間も惜しむようにすぐに食べ終わった。 「今日はたぶん帰れないから、花香は家で早く寝てな」 まだもぐもぐと口を動かしながら、私は頷く。 「でも、花香がいいなら、一時間いてくれる? 一時間だけ寝たい」 私は了承して、寝ている彼の側で携帯小説サイトを見ていた。彼は相当疲れているようで、いびきをかいた。私は酷く悲しくなった。 一時間経ち、起こそうか迷っていると彼は自分で目を覚ました。 「ありがとう、花香。帰っていいよ」 そう言って顔を洗いに行く彼。余裕がない時の彼はいつもよりさらに言葉少なになる。今日は私に手伝えることはないようだ。 「あんまり無理しないでね」 とだけ声をかけて、車に乗った。 暗い暗い山道。私は彼を思いながら運転する。悲しい恋の歌がカーステレオから流れていて、ますますもの悲しくなる。彼は私のために身を粉にして働いている。有り難い。そして申し訳ない。彼が身体と精神を壊しませんように。 ベッドに潜り込むと、ベッドがなんだか広い。そして冷たい。 彼の仕事が終わりますように。そして少しでも朝寝られますように。
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