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第23章
来客用のソファに通され、栞は改めて説明した。
サラベナ王国の王子と出会ってから、離れるまでのこと。
この土地の盟主である林家との関係。
「あの国へ行きたいのです」
松本は、大きな体を揺らして何度も何度もうなづいた。
「和泉さん」
「はい」
「あなたの決意はよくわかりました」
「はい」
栞は、松本と隣に座る理恵子をまっすぐ見た。
「外務省の渡航情報はご覧になられましたか。率直に言って今のサラベナへ入国するのは無理です」
「はい。今も渡航中止勧告が出ているのは知っています。でもそこをなんとか。今ではないのです。でも、政権が王家に戻れば、すぐにでも」
松本は勢い込む栞に手ぶりでお茶を進めながら言った。
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