第23章

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「栞まで、ひどい」 「一番ひどいのはお前だ。後輩を危険にさらしてまで書いていい記事なんてない」 栞の知るテレビや雑誌のジャーナリストのイメージとなんだか違う。 無茶をしてでも、現地を取材して記事を書くのがジャーナリストという仕事なのだと思っていた。 「今はジャーナリストを管理する方の仕事なものでね。おい、日浦。いい機会だからお前の野望をきちんと彼女に話して許可を取れ。サラベナの件、タイトルは決まったのか」 そう言われると、理恵子の目は急にきらきらと光り出した。 「聞いて、栞。サラベナの美貌の王子が、側近にクーデターを起こされてから祖国を奪還するまでの物語。タイトルは『ホワイトゴールドプリンス』。ほら、サラベナってプラチナが特産でしょ。それとイケメンの王子様のイメージでピッタリじゃない? ねえ」 嬉々として話す理恵子に、栞は申し訳なく思いながら水を差した。 「あの、理恵子先輩」 「なに?」 「プラチナとホワイトゴールドは別の金属ですよ」 「へ?」 理恵子は松本の方を向いた。 松本も大きくうなずいた。 「まじで」 栞と松本はもう一度うなずいた。 「そうなの?! ピッタリだと思ったのに!!」 理恵子は天井を向いて、吠えた。     
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