第24章

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それも結構以前から話題になっていたことで、それ以外は熱心なファンが、中国のサイトから情報を探してきては、公表しているがもう目新しいものはなくなってきている。 大半は嘘くさいゴシップ記事。 書き込みはずっと堂々巡りで、死亡説も絶えない。 彼女に限ってそんなことはないと思うけれど。 インターネットでもテレビでも、もはやエステラのことは話題にならなくなっていた。 行方不明のまま、もう忘れ去られようとしている。 あの声が二度と聴けないなんて、わたしには考えられないのに。 久しぶりにあった、学生時代の友人たちには、変わったと口々に言われた。 「髪型が」 「すこしやせた」 「目がきらきらしていて、とっても前向きな感じ」 「なんか、栞らしくない」 落ちはひどいものだったが、他人から見ても変化があるということは、自分で感じている以上なのだろうと思った。 横では、理恵子がにやにやしていたがなにも言わないでいてくれた。 このくらいの空気は読めるようになったらしい。 そんな風に忙しく過ごして、一年がたった。 とうとうサラベナが王政に復帰した。 軍部の圧政は終了した。 これは海外ニュースのトップで扱われた。 サラベナ語を教えてくれたマヌェもダムレィも、「これで国に帰れる」と喜んでいた。 喬久からもがメール届いた。 まだ国内は混乱していて、カイトはとても忙しくしていると。     
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