第24章

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それは暗に彼から直接連絡がないことの言い訳だった。 どうしたのだろうか。 今やサラベナ語の読み書きに不自由を感じなくなった栞は、現地からSNSで情報を発信しているサイトを捜し、読み漁った。 しかし、その内容は生活に密着したもので、家族の無事や食事の心配をつづったものが大半だった。 カイトの即位を喜んでいる者は多いようだったが、クーデター鎮圧の顛末を詳細に記述している記事はなく、そのあたりは情報統制されているという感じであった。 焦りを感じた。 会いに行きたい。 でも今、会いに行って彼は受け入れてくれるだろうか。 王となった今、栞という日本人女性はむしろいない方がいいのではないか。 明日にでも理恵子に連絡を取り、もう一度サラベナ行の相談をしようと思っていた時だった。 珍しく林志津子から電話があった。 夏枝が来ていて、あなたに渡すものがあると言っている。 林夏枝。 喬久の母親。 離婚後喬久と共に勢津子の元に身を寄せ、そのままカイトの口ぶりでは王族、特にカイトの周りで働いている。 日本滞在中に、サラベナとの仲介をしていたのは彼女だ。 栞の心臓は大きく脈打った。 週末、林家を訪れることになった。 悪い知らせである可能性をと考えると、足は軽やかとはいかなかった。     
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