第24章

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駅から15分ほど歩き、大きな門の前に立った。 あれから一年以上がたった。 ついこの間のような気がするのに、いろいろ大きく変わった。 「あら! あなたが栞さん?!」 突然頭の上から高い声が降ってきた。 見上げると門の上に張り出した松を剪定している女性がいた。 「こんなところからごめんなさい。ちょと待っててね。お母さん! 栞さん!」 夏枝は松の葉の中に消えていき、すぐに門のところまで出迎えた。 背は高く、伸びっぱなしのショートカットに日に焼けた顔。 ジャージの上下に大きな苅込鋏。 ああ、そういえば、目元が喬久に似ている。 「はじめまして。和泉栞です」 「はじめまして。林夏枝です。でも、この家は初めてじゃないんでしょ、早く入って。おかーさん!」 玄関の三和土をどかどかと上がり、床の間の部屋に通した。 そこには、久しぶりに会う志津子の姿があった。 着物ではなく、あっさりとしたワンピースだった。 「うるっさいねえ。栞さん、ごめんなさいね、こんながさつな子で。はやく、座布団、そっちじゃない、赤い来客用の。それそれ」 一年前に訪れた林家とは、随分感じが違う。 静謐な、現実とは隔絶した世界。 同じ場所なのにいる人が違うだけで、こんなにもかわるのだ。     
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