第24章

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栞は二人のやりとりを聞いて、肩を震わせて笑った。 座卓の向こうに志津子と夏枝が座る。 ここに喬久がいれば、三世代のの同じような顔が並んだに違いない。 「栞さん。カイトから手紙を預かってきました」 前置きなく夏枝は言い、栞の前に白い封筒を差し出した。 透かしの入った、厚手のあたたかみのあるコットンペーパー。 幾度かもらった手紙と同じ封筒だ。 栞はすっと息を吸った。 カイトの側にいると、必ず鼻をくすぐるあの白い花の匂いがした。 今までは夏枝が転送していた手紙を、どうして今回わざわざ手渡そうとするのだろう。 「内容は聞いていません。だた栞さんに手渡してほしいとだけ、喬久から」 喬久から。 開けることに、不安がよぎった。 栞は目の前の2人を見た。 2人からはなんの表情も読み取れず、ただ栞を見つめていた。 手紙に目を戻した。 きっとここには今のカイトがいる。 会いたい。 その思いで、栞は封を切った。 栞。 名前を呼びかけて始まる。 簡潔に栞を気遣い、自分と喬久の状況を伝える。 しかし途中から文章は変わっていった。 王政を取り戻したあとも、上手く気持ちが切り替えられないでいる。 友人の父親を銃殺したこと、そのことは今も間違っていないと思っている。     
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