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第24章
マヌェから紹介された新たなサラベナ語講師は、名をダムレィという貿易会社を経営している中年の男性だった。
ダムレィもカイトやマヌェ同様、目鼻立ちのはっきりした美形だった。
サラベナは美男美女が多い国なのだろうかと思わずにいられない。
まさに、栞が初めて会った頃、カイトが偽っていた身分そのままのような人だった。
ダムレィには、近い将来サラベナで働きたいということにして栞はサラベナの商習慣や、ビジネスで使える言葉などを主に教えてもらえるよう頼んだ。
栞の高い語学力を目の当たりにしたダムレィは、アルバイトという形を取りながら勉強してもらうこともできる、という申し出を行った。
しかし勤務先が副業を許可していないため、これは断らざるを得なかった。
「それはとても残念なことです。シオリは今どれくらい給料をもらっていますか? それ以上出しましょう。どうですか?! 」
ダムレィはくっきりした二重瞼の目を大きく見開いて、栞に迫った。
栞は一歩二歩と後ろに下がって、改めて断りを入れた。
ダムレィは大げさに首を振り天井を仰いだ。
そしてこの話はここまでになり、栞は生徒としてダムレィの事務所を訪れることになった。
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