0人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ん」
少し体重を移動するだけでギシギシと音がするベッドの上で目を覚ました少年。
「まただ…」
額に手を当て不機嫌そうに顔を曇らせる彼は神崎蓮(カンザキレン)17歳 高校2年生。
「蓮にーちゃん!!!おきろー!!」
「朝だぞー!!!」
部屋の扉が勢いよく開かれ数十人の子供が蓮へ押し寄せる。
「だー!!!お前らいつも勝手に入ってくるなっていってるだろ!!!」
ここはとある児童養護施設。身寄りのない子供たちが共同で生活している。
「がっこーちこくするよ!」
「はやく起きて!!!」
子供たちの大きな声にさらに顔をゆがめる蓮。
「いいからでてけーーーーーーー!!!」
☆ ☆ ☆
「お、蓮起きたか?」
「じいさん、いい加減にこいつらを起こしに来させるのやめてくれよ」
寝巻の姿から学校の制服に着替えた蓮が2階から降りてきた。
「それが嫌ならひとりで起きろ」
椅子に座って新聞を読んでいる老人はこの施設の園長。
「へいへい。よーしお前らー!誰が早く朝飯食って歯磨いて学校いけるか勝負だからなー!」
蓮がこう公言すると無数の子供たちが一斉に用意された朝食を食べ始める。
この施設の最年長が蓮であるため、多くの子供の面倒は蓮が見ることが多い。
全員をしっかりと見送ってから自分が家をでる。
「よし…これで全員いったな」
食器を流し台に重ね、静かになった施設を見渡す。
「お前には毎日助けられとるの」
「何言ってんだよ、じいさんもいい歳だろ」
「昔はただの悪ガキだったのに成長したもんじゃの」
「っるせ、じゃあ俺も行くから!変なセールスとか出るんじゃねぇぞ」
最初のコメントを投稿しよう!