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あくまでも麻理亜は提案を出したに過ぎず、その決定を下すのは、百戦錬磨のリチャードだと思っていたしその決定や指示に従うのが当然だと思っていた。
しかしリチャードは、自分で決めろという。
ならば、敵を目前にしたこの状況で戸惑っている暇は無く、最善と思える手段を考えるのが今の自分の役目だろう。
援軍の気配は無いとは言え、現在敵の数は不明。
携行火器は主武装のアサルトライフル・シグSG552が二挺。30発入り予備弾倉がリチャードと合わせて6本で、20人位迄なら充分過ぎる位の弾数である。
他にも手榴弾もあれば、バックアップガンもあるので、火力的には問題無い。
それに作戦自体が、敵の首領の生死を問わずと言う幅の広い物であり、それがそのまま戦いの幅を広げる事にも繋がる訳で、言ってみればルーキー向けの作戦だという事も見えてきた。
ならば。と麻理亜はリチャードに自分の考えを伝えた。
「まずは、あの歩哨から情報を聞き出す。
その上で20人以上の敵が中に潜んでいるようなら、次の手段を考える。それ以下であれば突撃する。これでいいかしら?」
「いいね。初戦でそれだけ冷静な判断出来るとは、俺も思わなかった。
それをベースに進めよう。あの歩哨はマリアに任せていいんだな?」
「ええ。リチャードがバックアップしてくれるでしょうし、私に任せて」
腰の鞘からサバイバルナイフを引き抜いた麻理亜は、目の前の歩哨へと意識を集約させた。
鈍く硬い光を放つ刃の切っ先のように。
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