2. Godless Land

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「マリア。お前の勘が当たったな」  一礼した後トムの元に戻った、ボットの背中を見つめていた麻理亜の肩をリチャードがポンと叩いた。 「それにしても。お前一人で全て片付けてるとは流石に思わなかったぞ。 これでも急行したつもりなんだがな…」  バツ悪そうに笑うリチャードだが、応援部隊の到着は麻理亜の予想以上に早く、おまけにこの場にボットを呼ぶという判断を下したのは、恐らくリチャードである事は間違いない。 「戦闘報告は後で上げるわ。それとゲートチェックの方法を再度検討する必要があるわね。 もう二度と同じ轍を踏まない為に」 「ああ。まさか養子話を餌に、内から騙し討ち喰らうとは流石に思わなかったが、ボットさんや当局の連中と対応を煮詰めるよ。 それにしても…」  そこで言葉を止めたリチャードはじっと麻理亜を見つめた。 「何?」 「もう一人前に育ちつつあるお前を、リトルエンジェルとは呼べないな。 これからは…そうだな…キリングエンジェルってコードで呼ぶ事にする」 「物騒なコードね!」  密かに幼い頃からの呼び名だった、リトルエンジェルがそのままコードに使われた事を麻理亜は喜んでいたが、確かに今の自分に合うコードネームは、小さな天使よりも殺戮天使の方が似合う気がした。 「おいおいマリア。上官の命令には何だった?」 「Yes Sir」  そう笑う麻理亜の顔には、殺戮天使なる物騒なコードとはかけ離れた柔らかな笑みが浮かんでいた。
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