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「マリア。お前の勘が当たったな」
一礼した後トムの元に戻った、ボットの背中を見つめていた麻理亜の肩をリチャードがポンと叩いた。
「それにしても。お前一人で全て片付けてるとは流石に思わなかったぞ。
これでも急行したつもりなんだがな…」
バツ悪そうに笑うリチャードだが、応援部隊の到着は麻理亜の予想以上に早く、おまけにこの場にボットを呼ぶという判断を下したのは、恐らくリチャードである事は間違いない。
「戦闘報告は後で上げるわ。それとゲートチェックの方法を再度検討する必要があるわね。
もう二度と同じ轍を踏まない為に」
「ああ。まさか養子話を餌に、内から騙し討ち喰らうとは流石に思わなかったが、ボットさんや当局の連中と対応を煮詰めるよ。
それにしても…」
そこで言葉を止めたリチャードはじっと麻理亜を見つめた。
「何?」
「もう一人前に育ちつつあるお前を、リトルエンジェルとは呼べないな。
これからは…そうだな…キリングエンジェルってコードで呼ぶ事にする」
「物騒なコードね!」
密かに幼い頃からの呼び名だった、リトルエンジェルがそのままコードに使われた事を麻理亜は喜んでいたが、確かに今の自分に合うコードネームは、小さな天使よりも殺戮天使の方が似合う気がした。
「おいおいマリア。上官の命令には何だった?」
「Yes Sir」
そう笑う麻理亜の顔には、殺戮天使なる物騒なコードとはかけ離れた柔らかな笑みが浮かんでいた。
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