流れに任せ

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母は基本的に家にいる時間が短かった。 日々の生活を支えるだけで精一杯だった。 そのため私は母に頼らなかった。 頼ることすら烏滸がましく思えていた。 兄は学校から帰ってくると、私を布団に叩きつけ、執拗に上半身を殴って行く。 胸は拳の後が残るほどまで殴られた。 兄はお前の血を後まで残すなと言いながら殴った。 兄にとって私は因縁のある人の子なのだろうか。 それとも血が繋がっていないことが原因なのだろうか。 私を殴り終わると、兄は一人で母の作っていった食事を食べた。 私が食べる頃には水場に投げられた食器。 余ることのないおかずがこの皿に乗っていた。 その皿を見ながら、ご飯を食べた。 兄が働き出した後、暴力はなくなった。 兄は疲れて、眠りにつく。 そして日の上らぬ頃には仕事に行く。 私のことは目に入らなくなった。 兄の稼ぎもあったのに、母は夜の仕事を辞めなかった。 いつまでも蝶として舞っていた。
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