じつは 怪談集 投稿用 おばけ編 山の音

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● 山の音 これは 私が 某大学で24時間勤務の時に 一緒に 組んだ 警備員の Kさんという 70に近い 年配の方から 夜長の 四方山話に聞いたものです。 Kさんの 年の離れた兄の話だそうです。 先の大戦の 末期 帝都に住んでた Kさんの兄さんは 疎開で 信州の山の傍にある農家へ 従兄弟たちと出向いていたそうです もはや 東京では 空襲空襲ばかりで 生きた心地もせず なんとか 従兄弟たちと 信州まで親戚を頼りに やっと 着いた 夜 遅く 従兄弟二人と一緒に 寝床で 眠りについた 夜半過ぎに バリバリ バリバリ ドッシャーん と 機銃掃射でもあり 家が崩壊するような 轟音が 鳴り響き 三人とも 飛び起きて 親戚のおじさんたちのところへ 行こうとするも まるで そちらでは 何事もなかったように 静まりかえっているため 三人とも どうしよう?どうしよう? と 話をしているうち やはり 旅の疲れか ころっと眠ってしまったそうです そして 翌朝 三人 早く目覚めて 昨夜の轟音が気になって 庭へ飛び出して 辺りを伺うも 近所のどこにも 空襲や機銃掃射の痕跡もありません 三人 きょろきょろ 山の方や 近くにある農道を見回していたら おじさんが 水汲みから 帰ってきたので 昨夜の轟音について 尋ねたら 「ああ、山の天狗さんだろう。たまにイタズラするんだ」と唖然とする回答に 三人とも なんとも不思議な気持ちになったもんだよ と よく 兄から Kさんは 聞かされたそうです 確かに 「天狗倒し」っていう妖怪現象だと 水木さんの書で私は知っていましたが 先の大戦中に 信州であったっていう 話 を聞けてなんか嬉しかったですね まあ 今回は 又聞きになりますが 昭和の世でもまだまだ あったんですね
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