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私は春を待ちわびて、寒い冬も二人でなら何ともなくて、ただ嬉しくてたまらなかった。
「もう卒業だし、休みになるよね。どこか遊びに行かない?」笑顔の私に。
「俺が東京の大学に行くとなかなか逢えなくなるよな」何気ない武士のことばが、心に刺さったままで、チクチクと胸を痛め続けている。その事以外の全ては些細で執るに足らぬことだった。だから頬に突き刺さる横殴りの雪も寒さもそのままにしていた。そして、ただ白い世界の中を歩き続ける。
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