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「逢えなくなる」そう告げた。私は足を止めて彼の顔を見つめる。時が止まり私の鼓動も止まる。顔は一瞬で消えて今度は彼の後ろ姿となり遠ざかっていく。
「武士まってよ」そう言い掛けて途中で止める。また舞い狂う風花が、東京で知らない女生と親しげに話し込む武士の映像をみせた。私はどうしようもなくその場に立ち尽くす。
あたりは白く薄暗い世界のままで私だけが取り残されていた。雪は横殴りで時に小さな旋風をつくり様々に形作り私を苦しめて行く。消えては現れ、現れては消えて行く。止むことなく風花は舞い続ける。
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