1/8
前へ
/8ページ
次へ

 風に舞う雪が風切り音を立てながら横殴りで流れていく夕刻。  さっき武士(たけし)に伝えた言葉を思い出す。 「風に舞い上がる雪は風花って言うのよ」  赤く色づいたピンポン玉のような太陽が傾きながらも暖かいはずの陽光を差し伸べるのに、眼の前で白い小さな雪が凍える風に無数に舞い上がり、辺りをくすんだピンクの世界に染めている。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加