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振り返ると、電車の出口で大介が緊張した顔をしている。
なるほど、電車とホームの隙間が怖いのか。かわいいところもあるな。
俺は、リュックを自分の腕にかけてもう一方の手もつないでやると、水たまりを飛び越えるような恰好で大介をホームに着地させてやった。
「ありがとう!」
大介はその後、照れ隠しなのか、妙に多弁で。
あそこの隙間に昔ベビーカーの車輪が挟まった時、母親が泣きそうな顔をしていたこと。
その時から、あの隙間にはお化けが住んでいるんだ、と思ったこと。
今回、大介の母親もその隙間に足を挟んで骨折したから入院しているということ。部屋は401号室なんだ。と言うことなども、聞いてもいないのに次々と話してくれた。
そして、俺たちはなんだかんだで、乗り換えたその後もずっと手をつないだままだった。
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