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病院中央駅に着いた。
列車の出口で、両手をつないで降ろしてやる。
「ありがとう。おじさん」
2回目だ。また言われてしまった。ありがとう、なんて言われたの何年ぶりだろうか。
「まあ、ここまで来たらあとは直結だから……」
しみじみした心持ちで話しかけてしていると、いきなり大介が手を振りほどき、わき目も降らず走って行ってしまった。疾風のように改札を抜けたところで人込みの中で大介を見失う。
「え、もう行ったの?」
バイバイくらいは言うとは思ったが、非常にあっけない別れだった。
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