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……まあ、5歳児なんてこんなもんだよな。よほど母親に会いたかったのだろう。
母親に会ったらどうなるのだろうか。驚嘆した母親に、一人で行動した事を怒られたり、しかし無事についてくれて喜ばれたりするんだろう。すぐに会えるといいな。
さて、もとの場所へ帰るか。
俺は、ひとつため息をついた後、そのまま改札を抜けずに反対方向の列車が来るホームへ向かおうとした……というころで、ふと肩に重みを感じた。
スーツの俺に不釣り合いな幼児向けのリュック。
大介のリュックを俺はずっと預かりっぱなしだった。
「あいつ……」
あいつが行く先はさっき話してたから分かってる。たしか母親の病室は401号室だったな。
俺は一つため息をつくと、改札に向かって歩き始めた。
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