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今の俺は、よっぽど病院という場に「見舞客」という役で違和感なく溶け込んでいるらしい。
病院の待合でも受付でもスルー。呼び止められたり好機の目で見られることなどなく、看護師など「こんにちは」と挨拶してくれるほどだった。
手短に見舞いの受付を済ませて401号室へ向かう。
大介に会ったらすぐにリュックを渡して帰ろう。
知らない見舞客のふりをして「すぐそこでリュックを拾った」とうそぶいて渡すのでもいいな。
大介が母親に俺の事をどう話すのか知らないが、むやみに話を大きくしてほしくない。
だってそうだろう。
大介自身の依頼とはいえ、未成年誘拐で逮捕されたり、訴えられる可能性さえあるんだからな。
まあとにかく面倒になるから大人とは話したくない、元の穏便な生活に戻りたいだけだ。
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