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「お待たせ。」
大介に声をかけると目と鼻と口の穴のすべてが「О」の形をして固まっている。
「お……!?」
先ほど自分が身をもって体験したが、人というものはあまりに状況と違う場合、言葉を失うものなのだな。
あまりに面白い顔をしているので、思わず笑ってやった。
「いい匂いはしないかもしれないけど、もう臭くはないだろう?じゃ行こう。」
「おじさん…」
「ん?」
「シャンプーの匂いがする~♪」
くんくん。大介が背後で鼻を鳴らしている。
もし自分が女の子だったら、その言葉、さぞうれしかったろう、という誉め言葉を背中でいただき、俺たちは駅の改札へ向かって歩き始めた。
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