第一話 その日私は

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そのパワーストーンのお店は、一見すると清潔で明るく ふんわりとした癒し系印象を受けるだろう。 それはパステルピンクを基調にした壁や、天使や妖精、女神のオブジェ、 流れるヒーリング計ミュージック等演出の効果も高いと思うが。 ここで聴覚に優れた人なら、何だかザワザワするような雑音が聴こえたり、 味覚に優れた人なら、生臭い味がしたりするのだ。 私の場合はこんな感じだ。 …店長、ニコニコしているけど背後に影を背負っている。 暗ーい感じ。お店は光に満ちているのは仮面だ。 本心は蛇。黒い大蛇? なんだかザワザワ雑音が聞こえる? ワタシガ!ワタシの方が!! という嫉妬の念が感じられる… でもこれは、どこにでもありがちな事だ。 一々気にして居たらキリがない。 と、このように、誰もが持っている感覚である。 もし、あなたが何も感じられないとしたら、 それは感じないのではなく、ストレスなどで気づかなくなっている だけである。 試しに、一カ月。いや、3日でも良い。 インターネットや携帯、テレビを絶ち、日の出と共に起きて朝日を浴び、深呼吸。 ゆっくりと大地を踏みしめて30分程度ウォーキングをしてみて欲しい。 鈍っていた五感をしっかりと取り戻せる筈だ。 さて、話を元に戻そう。 オーナーと打ち合わせも兼ねてのディナーは、 待ち合わせ前から気持ちがザワザワした。 …イッテハイケナイ… そんな予感がしていた。 しかしその日は仕事が16時上がりと早かったし、 一人で夕飯を食べるよりは、仕事の一環だし。 と、非常に軽く考えていて、 せっかく感覚が警告してくれていたのに無視してしまったのだ。
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