第三話 げに恐ろしきは…

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それにしても、店長が私に嫉妬とか。 奥様が私に嫉妬とか、意味不明であるが…。 私の心を見透かすかのように、賢者は言った。 店長とオーナーは肉体関係にある事。 そのオーナーは、あちこちに女性がいて 奥様はオーナーの傍にいる女性全てに不信感を抱いている、 との話だった。 …その職場、早く辞めよう… と決意した。 賢者はこう続ける。 「科学的に証明できる話ではないから、話半分に聞いて欲しいんじゃが…。 人の想いは生霊となって対象者に飛びやすいのじゃ。 それは、ただその者を案じるという純粋なものであれば、 対象者を守るお守りのようなものになるじゃろう。 だが、嫉妬や不信、殺意、恨み等の感情は、 ポジティブな願いとは異なり執着というエゴを生み出す。 それは何倍にも早いスピードで相手に届いてしまう場合があるんじゃ。 げに恐ろしきは人間の憎悪、嫉妬心。 そうなると、憑かれた方は心身ともに衰弱し、 気力が湧かなくなるから運気も下がっていく。 では、念を飛ばした相手は何もないかというと、そうでもない。 生霊を飛ばすのは大抵は無意識が多いが、 飛ばす事で彼女達の体力、運気もゴッソリと消耗する。 人を呪わば穴二つ、昔の人は分かりやすい例えをしたものじゃ」 との事だった。 勿論、これはごく稀な例であり、 ほとんどが思い込みの可能性が高いそうだ。 最後に、賢者の台詞を紹介して終わりにしようと思う。 「笑う門には福来る、というが、まさにコレじゃ。 何があっても、それを楽しめるくらいの余裕があれば、 生霊も霊も跳ね返せる。 生霊は厄介だから無理、という説が有力だが、 自分の人生をしっかり自分で舵を取り、 何があっても人や周りのせいにしないで自分をしっかり見つめて生きる。 これには誰もも叶わない。 無理に元気に振る舞わなくても良い。 TPOさえわきまえていれば、喜怒哀楽の感情は大切にして良いんじゃ。 同じ生きるなら、楽しんだもん勝ちじゃのう。 それとな、違和感を覚えたらその感覚は大切にする事じゃ。 普段から五感は鍛えておいた方が良いのぅ」 ~完~
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