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「俺、今日いけませんから」
強引に携帯番号を交換されて以来、圭輔はヒマさえあれば電話攻撃を仕掛けてくる。
二度目に会ったときはまんまとメールアドレスまで盗まれて、ことあるごとにメール攻撃。
これまた少し経てば飽きるだろうと放置していた自分の予想を裏切り、その攻撃は衰えることを知らない。
いまではメール大好き人間の秀人より、その受信量は多い気がする。
内容なんてほとんどどうでもいいことばかりで、一週間に一度のペースでお誘いメール。
この男が自分をそーゆー目で見てるってわかってるだけに、頻繁に会うのはよくないって自分でもわかってはいるけど・・・・。
この男は絶妙なタイミングで餌をぶら下げてくる。
言葉どおりの餌。食料。
いわゆる所詮は貧乏学生。
財布と睨めっこしてため息なんぞ吐いてる姿はこの男にはお見通しってワケか?
それにまんまと釣られる自分も自分だけど、なんてゆーか、厄介な男だ。
『へえ・・・・なんで?』
「なんでって・・・・これから飲み会なんですよ」
『・・・・フーン?』
なんだか含みのある返事に、冷や汗が出た。
この男は、非常に鋭い。
べつにビクビクする必要なんてないんだけど、なんてゆーか、条件反射?
ちらりと振り返っても、秀人たちの後姿はもう見えない。
まあ、店の名前は訊いているから問題はないんだけど。
とりあえずいまはこの状況をどう乗り切るかを考えなければいけないわけで・・・・。
『合コン?』
突然聞こえた言葉に、ゴホッと不覚にも咽せた。
マジで一生の不覚。
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