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次に被害者の元へ向かった。
被害者の男性は、自分の物を盗まれたイライラと、警察に何度も同じことを訊かれているイライラ。そしてなにより日高が、自分の物を盗んだ犯人である容疑者修司の弁護人という事実に、強烈な嫌悪感を抱かれていて、その場は異様な雰囲気となっていた。
「何だよ弁護士さん、自分のした事を全く反省せずに否認している奴を、情状酌量させてやる気なんか、全くないからな」
そう言われた日高だが、にこやかに対応して話はじめる。
「いえいえ、情状酌量などお願いする気はありませんよ。私共は、貴方の物を盗んだ憎き真犯人が他にいると思っているのです。そいつを捕まえる為に、当日の事を思い出して話を聞かせて欲しいのです」
「真犯人?本当にそんな奴がいるの?もし居るなら捕まえてくれよ。お情け頂戴って話でなく、純粋に話を聞きたいって言うなら、協力しますよ」
被害者もやっと心を開いてくれたようだ。
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