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独自捜査
日高はまず、当日と同じ時間帯に、同じ時刻の地下鉄を利用している乗客を中心に聞き込みをさせた。
但し聞き込みをする場所は、犯行が有ったと思われる弁天寺駅と八幡台駅の間ではない。
訊き込みをする場所は弁天寺駅のホーム。そして訊き込みをかける乗客は、区間内を利用する乗客ではなく、弁天寺駅より手前から地下鉄に乗っていて、弁天寺駅で降りている乗客に訊き込みをかけた。
そして訊き込みをした乗客に、当日の“いつもとは違った、変わった事”を訊いたのだ。
すると皆、いちように思い出し笑いを浮かべながらこう口にしたのだ。
「そういえばあの日、車掌が新人だったからなのか、一つ前の赤山一丁目駅で、自分がいつも降りてるこの駅のアナウンスをしちゃってたんですよ。他の客は他人事だから大して気にしてなかったみたいなんですけど、自分は普段降りる駅を間違えてアナウンスされたので、よく覚えています」
やはり!と日高は思った。
そしてそれを裏付ける為に、地下鉄の会社にも行き、当時の車掌を呼び出して貰って聞き込みを行った。
見るとやはり若く、経験が浅そうな車掌だった。
態度もオドオドとしているのでプレッシャーにも弱い印象を受けた。
「は、はい、す、済みません。僕、あの日は緊張のあまり駅を一駅早く間違えて、赤山一丁目駅に到着する時、弁天台駅のアナウンスしてしまいました…」
と平謝りだった。
(ビンゴ! 私の予測は正しかった)
日高は思わず心の中で快哉を叫んだ。
これで車掌本人のアナウンスミス証言も取れた。
当日はこのミスで混乱は起こらなかった為、悪い事とは思ったが、穏便に済ます為に運転士と共にこのミスを会社には報告しなかったのだそうだ。
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