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――目を覚ました夏帆が僕を見て、悲鳴をあげた。
「な、なっ、何、何それ、なんで」
夏帆は理解できない、信じたくないといった様子で頭を抱える。
僕だって同じ気持ちだった。
汐音……どうして、こんなことに?
昔のことが走馬灯のように頭の中を駆け巡り、その中でおばあちゃんの言葉を思い出した。
――ああ、これは昔聞いた言い伝えの続きだと気づくのに、時間はかからなかった。
『神様の膿から成った人はね、もうヒトではないんだよ。 でも流せば、もう彼岸の存在なのに帰ってきてしまう。 彼岸の存在が此岸に来れば、いつか必ず、呪いを吐き出して腐り落ちてしまうんだ。 だから絶対に、してはいけないよ』
……僕は、目の前の肉塊に、手のひらの中の肉片に、ようやく本当の罪の重さを理解した。
終
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