1話

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高校生活二日目の一時間目と二時間目の間の休み時間。 今日の私たち三ヶ瀬高校一年生は、授業という授業はなく、ほとんど高校に遊びに来たという感じだった。 一時間目はLHRで、色々自己紹介や配布物、春休み中に出ていた宿題の回収等があり、わかなちゃんと話している暇などなかった。 だから、その分、昨日言えなかった事を話そう。 「あのね……わかなちゃん?」 「……なに?お悩み相談?」 「そ、そうなの……」 私は、わかなちゃんに、話したいことをすべて話した。 ……少しだけ疲れたし、拙かったけれど、わかなちゃんはちゃんと耳を傾けてくれたのだ。 「へえ、かずねは合唱が好きなのか」 「う、うん。それで高校では合唱をやりたいなって思ったんだけど……」 「あれ、でもこの高校に合唱部なんてあったっけ」 「そうなの、実は合唱部がなくて。そ、それで、私が頑張って合唱部を創ろうかなあって」 「なるほどな」 「そ、それで、一応、聞いておきたいんだけど……。わかなちゃん、一緒に合唱やらない……?」 「うーん……仮部期間まだあるし、少し考えさせてくれ。」 確かに仮入部期間は26日までだ。 今日は9日。まだ二週間以上もある。早急すぎたかな…… 出会ってまだ間もない私から言われても、気を遣わせてしまうよねっ。謝っておこう。 「そ、そっか。残念……ごめんなさい。」 「ううん。こっちこそごめん。今は……充電期間というか、そもそも部活とか考えてなかったというか……、でも、せめて何か手伝えることがあったら言ってくれよ」 「え?本当に、いいの……?」 「うん。かずねポンコツだから守ってやらなな。」 「わ、わーい!?……私、頑張って合唱部を作るよ……っ!」 例えわかなちゃんが別の道を進もうといい。 私は、わかなちゃんの気持ちを受け容れなきゃ。 守ってくれるっていう気持ちは特に。 そんなこんなで、二時間目の時間が来てしまいました。 二時間目は、体育館にて生徒会の先輩方が企画してくれた、新入生オリエンテーションです。
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