1話

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新入生オリエンテーションは、入学式と打って変わって、大変和やかな雰囲気の中進められた。 特に○×ゲームが面白かった。 『日本史の黒瀬先生の出身地はブラジル!○か ×か!』の質問は特に面白かった。 壇上に上がった理科の黒瀬先生は、確かに南米にいそうな雰囲気で、肌が黒く、彫りが深い顔立ちをしている恰幅の良い男の先生だった。 「フフフこれ絶対ほんとでしょかずね○行こ!ふふふ!」 「えっ……なんで……」 わかなちゃんは、冗談の通じない人なのだろうか。 ○コーナーより×コーナーのほうが先輩方が多いのに。これ絶対間違ってるよ! 『では、黒瀬先生……正解を』『×でーす!』 会場にはどっと笑いがあふれていた。見事に私たちも間違ったので笑っていた。 そして、部活動の説明の時間がやって来た。まずは運動部から。 私とわかなちゃんは運動部のパフォーマンスに目もくれず、二人で隣同士、少し崩した体育座りでおしゃべりをしていた。 「実はな……会長は吹部所属なんだ。」 「えっなんでわかなちゃん知ってるの?」 「やよいから聞いた。会長の代はもう二学期あたりで引退するかもね……かなり厳しいってやよい言ってたし」 「そうなんだ……」 会長にもいろいろ事情があるのだろうと、私は察しました。 わかなちゃんと話し込んでいるうちに、『次は、吹奏楽部の紹介です。』という司会の声が聞こえました。 耳を傾けなくては。私も元吹奏楽部だったし。 司会の声の直後。 体育館の壇上に並べられていた楽器が、人の手により、一つの音楽となって奏でられていた。 曲目は、流行りの男性のアイドルソングだったが、その男性ユニットの曲ではない……三ケ瀬高校吹奏楽部だけの輝きを私は感じました。 中でも、葉月会長のソロは、たくさん光る星の中で一番に光る金星みたいで、やっぱり葉月会長は素晴らしいなと感じました。
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