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「や、やっぱり……みんなで音楽を作るの、絶対私も……やりたい……っ」
知らぬ間に私は目じりに涙を浮かべていたみたいです。
震えた声で思わず隣にいるわかなちゃんの手を掴んでしまいました。
「ほら深呼吸だぞ?ほらティッシュ。」
「あ、ありがとう……」
ちょうどその時。吹奏楽部の音楽もちょうど終わり、拍手が鳴り響く中。
わかなちゃんからティッシュを受け取った私は、わかなちゃんから、あまりはっきりとは聴こえないつぶやきを耳にしました。
でも。確実に。私にはこう、聞こえたのです。
――「音楽も、悪くは、ないかも、な」と。
………「えっ、なんて言ったの?」
私はあえてわかなちゃんに問いかけてみました。
「な、何でもない……何でもないよっ」
「そうか。分かった。待ってるよ。」
こう見えて、私は気を遣うのが上手いって、よく家族には言われるのです。
いつも私は、中学時代までは気を遣い、損な役回りを積極的に引き受けていました。
それが仇となり、本当は思い出したくないけど……嫌な事件も、以前に私の周りで起きてしまったのです。
昔の話はここまで!
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