1話

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生徒会室へ重い足取りで到着した私は、職員室に入ると同様に二回生徒会室のドアをノックして、「し、失礼します!」と震える声で半ば叫んでいた。 だが……だれも……居ない?物音一つ聴こえないよ?! まさかわかなちゃんの言うとおり、本当に影が薄い方なの?! 一応、名乗っておこう。 「1年1組の、橋留和音です……っ!あ、あの……」 「あら、新入生の子だったのね。ごめんね~、入って入って~」 「は、はい……!」 ああ、良かった……ちゃんと人が居たんだ…… 一旦ため息をついて、邪な気持ちを吐き出した私は、生徒会室の中へ入りました。 生徒会室は、想像していた重々しい雰囲気ではなく、かわいい小物が並んでいて、かわいい洋風の高そうなテーブルとソファーが並んでいて、なぜかティーポットとティーカップセットもありました。 なんだか北欧の田舎に居る気分になってきました! そこにいらっしゃったのが……昨日あそこで式辞を述べていた、葉月会長でした……! 体育館の壇上で見た凛々しさはそのままで、もう後光が刺してるようで正直しんどいです。 「それで……、ご用件は何かしら?」 「はい、あ、新しく部活動を作りたいなあ……と思っておりまして……」 「分かったわ。今資料を出すから、ちょっと待っててね」 そう葉月会長は仰って、北欧の雰囲気にそぐわない無機質な灰色の机の引き出しを漁り始めました。 ……よく見たら、この生徒会室、抜けたところがたくさんあるのかもしれません。 そんな事より。部活動を作る条件……、いったいどのくらいあるのでしょう。気になります。 数十秒後。 「あったあった、これだわ。――はい、どうぞ」 「あ、はい。ありがとうございます」 私は、葉月会長から、青いクリアファイルを渡されました。 そのクリアファイルを開けて読んでみると……
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