【小さな親切】

8/8
前へ
/8ページ
次へ
私は、 何だか、晴れやかな気分で、ずんずんと道を歩いた。 そして、オモムロに腕時計を見る。 「よし! もう遅刻になっちゃうけど…学校に行こうかな!!」 実は、私… 今、クラスでイジメを受けているんだ…。 それが嫌で嫌で 今日、私は学校には行かずに授業をサボって『あて』も無く地下鉄に乗っていたのだ。 でも… 私の本当にちっぽけな『小さな親切』に、 あんなに涙をいっぱいに貯めて喜んでくれた、あの外人さんの姿を見て… 何だか、私にも『勇気みたいなもの』が湧いてきたような気がしたんだ! よし! ちゃんと学校に行って、 イジメッコと向き合って、そしてちゃんと話し合って仲直りしよう! 今の私だったら、絶対にそれができるはず!! …それにしても… さっきの、外人さん…。 『日本の人には、絶対に危害を加えないよう、俺の母国の人達にも、言っておきます!』 だ、なんて… めちゃめちゃ、オーバーだなぁ(笑) だって、私があの外人さんにした事と、言えば… ただ、地下鉄で席を譲っただけ…。 本当に… ちっぽけな… 『小さな親切』なんだけどなぁ…。 今、彼女は… 本当に、多くの(下手をすれば何百人…いや、何百万人もの)、 『日本人の命を救った事』に… まだ… 気付いていない…。 ~END~ イラスト/mimoriさんimage=510206518.jpg
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加