【小さな親切】

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と… 俺が、そんな風に『日本語の略語』について、あれこれと考えを巡らせながら、 周囲を見てみると… 車内は、相変わらず各駅ごとに次々と人が乗って来たらしく、さっきにも増してギュウギュウ詰めの超大混雑状態になっていた。 その時。 「うん?」 俺の方を… 地下鉄のシートに座って、ジーッと見詰めている一人の制服姿の女子学生がいる事に、気が付いた。 「………」 俺は… 『そういう、周りからの視線』には、 もうすっかり『馴れっこ』になっている…。 「何だよっ!何だってんだよっ!!」 俺は、無性に腹が立ってその女子学生に向かって内心で毒づいた。 「ガイジンが… そんなに珍しいのかよっ!!」 そう。 俺がこの国、日本に来て… 一年の月日が経つ…。 俺は、ここに来てからの一年間… 周囲からの本当に冷ややかな視線や態度に耐えながら生きてきた。 だから、俺は… 『人の優しさ』には、本当に人一倍『飢えている』のかもしれない…。 「イタタッ…」 再び、俺は左膝の古傷に痛みを感じた。 そして、再び膝を軽く撫でると、痛みはまたすぐにおさまった。 制服姿の女子学生は… 俺の方をじっと見詰めていたが、 俺が視線を送ると慌てた様にそそくさと下を向いてしまった。 この彼女の『反応』にも、俺は今じゃ、すっかり『慣れっこ』になっていた。 「…うん?」 と、俺は少し『妙な事』に気が付いた。 「この地下鉄の沿線に、学校なんか有ったっけな…」 俺の周りの乗客達は皆、スーツ姿のサラリーマンやOL(『OL』って言葉も略語だな)ばかりで、 制服姿の学生は、その女子学生一人きりだったのだ…。 「まあ、そんな事より…」 と、再び俺は『略語について』考えを巡らせた。 「日本語の略語の中で… あの『外人』って言葉だけは、本当にイヤな感じだよな!!」 ちゃんと『外国人』って言えよ!! 『外人』って、読み方を変えると… 『ハズレ・ビト』だぞ!! まるで、俺達が『人間じゃない存在』…みたいじゃないか! その上、ひっくり返して『人外』にすると、完全に『人間じゃない存在』になってしまうんだぞ! (ひっくり返す必要は、無いかもしれないが…)
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