【小さな親切】

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{2} 「外人さん!! どうぞ、この席に座って下さい!!!」 私は! 思いきって席を立つと、目の前に立っている外人さんに声をかけた。 私が、地下鉄のシートに座っていると… 吊革に掴まって膝を痛そうに撫でている、その若い男の外人さんが… 凄く気になったのだ。 外人さんは、ギュウギュウ詰めの車内で 時々、顔を歪めながら自分の膝を痛そうに撫でて、キョロキョロと周囲を見回していた。 「何か、大変そうだな…。席を譲ってあげようかな」 と、私は内心ではそう思ったのだが、何か『勇気』が出せなくてその外人さんの顔をただじっと見詰めてしまった。 でも… 再び、外人さんが膝を痛そうに撫でているのを見て、 たまらずに席を立ってしまったのだ。 「…エ?」 と、外人さんは変な顔をして、席を譲った私の顔を凝視した…。 「ナ、何デ…俺ナンカ二、席ヲ?」 と、どぎまぎしている。 (日本語が少し(なのかな?)話せるみたいだ) 「えっと…私!次の『〇〇駅』で降りるんです! だから、どうぞ座って下さい!」 咄嗟に私は『嘘』をついてしまった。 と… 「オ、俺モ! 次ノ『〇〇駅』デ降リルンデスヨ!ダカラ、良イデス!ドウモ、アリガトウ!!」 外人さんは、笑顔でペコリッ!と頭を下げた。 さて。 『〇〇駅』を降りた私は、 仕方なくその外人さんと一緒に改札を抜けた。 「本当二、サッキハ、アリガトウ!俺、人カラ優シクシテモラッタノ、コノ国二来テ初メテナンデス!」 外人さんは、引き続き満面の笑顔で私に向かってペコペコと頭を下げた。 私は… 内心で「ただ、地下鉄で席を譲っただけなのに…この外人さん、オーバーだなぁ」と思いながら、 「いえいえー。 外人さんもこの国に来て、いろいろ大変ですよね。でも、日本人だって良い人がいっぱいいますよ。だから、どうかこの国を嫌いにならないで下さいね」 と、言うと… その外人さん… 何と! 両目いっぱいに涙を貯めて! 「ソ、ソウデスネ! 分カリマシタ!日本ノ人ニハ、絶対ニ危害ヲ加エナイヨウ、俺ノ母国ノ人達ニモ、言ッテオキマス!本当二、サッキハ、アリガトウゴサイマシタ!」 と! 私に握手を求めて来たのだ! 私は、またまた仕方なく笑顔で外人さんと握手をすると彼と別れた。 別れ際、その外人さんが… ガラケーで誰かと話しているのが見えた。
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