そこにある幸せ

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「ネックレス…」 言わなければいけない事を思い出す。 「皇太子殿下から戴いたムーンストーンのネックレスを……壊して…投げてしまい…申し訳ありません…」 皇太子へ頭を下げる。 私の為に、まだ会ってもいなかった時に、私の事を想ってくれたのに…… 壊れた事、壊れた後も、投げてしまって皇太子の想いを大切に扱わなかった事を、謝りたかった。 「……幸せにしてくれたじゃないか?」 皇太子が私の肩を掴み、上にあげて下げた頭を戻す。 「あのネックレスがあったから、狙撃犯が的に選んで間違えてルカに当たらなかったし、壊れてからも投げて音を出して助けてくれたじゃないか?」 皇太子は笑顔で話す。 「『幸せになる』って聞いたのは本当だった」 皇太子の笑顔に、更に胸が熱くなる…
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