皇太子妃の苦難

41/71
前へ
/505ページ
次へ
トマス王子が座り、皇太子もマリンへ話が終ると皇太子の食事が運ばれてきた。 ……… ……… 先程トマス王子から聞いた話が頭の中でまだ整理ができておらず、無言になってしまう。 皇太子もトマス王子も無言のままフォークを動かしていて、この雰囲気の悪さに何も感じていないのかと思わせる… 何か話さなければと思ってみるが、話題が思い付かず、昨日皇太子が言ってくれた『無理して話さなくていい』を頭の中で連呼するが、トマス王子もいるし、昨日より部屋に人がたくさんいて不安や恐怖の思考ばかりが頭の中を占領する。 ……… ……… 「ルカ…食事が終わったら…話がある」 私への要求とはいえ、しばらくの沈黙を皇太子がようやく切ってくれた。 「はい」 私が皇太子の目を見て返事をすると、今度はトマス王子の方へ皇太子は顔を向ける。 私が見る限り、皇太子はこの部屋に入って来てからトマス王子の顔を見たのはこの時が初めてだった。
/505ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1134人が本棚に入れています
本棚に追加