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「----」
波音に紛れ、人のような声が耳に届く。
ゆっくりと目を開けた直後、まばゆい光が視界をホワイトアウトさせ、僕は思わずギュッと目を閉じた。
手で日除けを作り薄目のまま光に慣れるまで待つ。段々と青い風景が現れてきた。
ここは、海? ああそうか。確か巨大なクラゲに捕まって漂流してたんだっけ。
あれ? そのクラゲが見当たらない。僕、普通に一人で海に浮いてるし。
「----!」
さっきより声が大きくなっている。見れば手漕ぎボートがこちらに近づいて来ていた。ああよかった。助かったんだ、僕。
乗っていたのは、焦げたと思えるくらい肌の黒いオジサンだった。ただ顔はアジア系だ。しかし話す言語はそれとは違う。英語でも無い。どこの人だろう。
オジサンに引き上げられ、とりあえず「ありがとうございます」と礼を言ってみた。
「----」
ダメだ。何を言ってるのか分からない。一晩でどこまで流されたんだろ?
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