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この夏休み、僕は殆ど外出せずにずっと家に閉じ篭っていた。今日一日で日に焼けて、ちゃんと夏休みを満喫した感を出さないといけない。じゃないとクラスで僕だけ一人色白で思いっきり浮いて目立ってしまう。まあ存在感の無い僕ならいらぬ心配だとは思うけど。
みんなは僕とは違い、家族や友人と海やプールに泳ぎに行ったり山にキャンプに行ったりして普通に思い出を作っていることだろう。
だけど僕のように遊びに誘ってくれる友人もいなければ、旅行へ連れて行ってくれる家族もいないはぐれ者は、こうして一人で思い出を作るしかない。
クラスの連中も担任も僕を内気なガリ勉野郎としか見ない。医者である両親も毎日診察に追われ僕に構う暇など無い。珍しく家で顔を合わせても、『勉強はしているのか』の一点張り。その癖僕より優秀な弟ばかり可愛がっている。弟もそんな僕を『お前』とか呼んで見下している。
僕のことを理解してくれない家族なんていらない。友達だって不要だ。僕は独りでいい。独りで十分生きられる。
こうして世間から離れた場所で独りでいる時が一番落ち着く。思い切って海に来て正解だった。今日一日は嫌なことは忘れて、バカンス気分と洒落込もう。
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