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しかし気掛かりなのは前述したクラゲだ。本当にこの下にウヨウヨ泳いでいるのだろうか。想像しただけで身震いする。寝返りをうって落ちないように気をつけよう。
……あれ? なんだか背中が冷たいような……。
軽く右手を持ち上げてみる。すると指の先端からポタポタと水滴が垂れた。
嘘だろ。浸水している。よく見たら空気が抜けて萎んでいるじゃないか。理由は分からないが、どうやらゴムボートに穴が空いてしまったようだ。
最悪だ。せっかくいい気分でいたのに。とにかく荷物だけは濡らさないようにしないと。
それより僕、泳げないんだよな。足つくかな? 万が一溺れたとしても僕以外に誰もいないから助けは望めない。まあそんなに浜から離れてないし波も穏やかだし、大丈夫だろう。
すっかり空気が抜けぺしゃんこになったゴムボートは完全に水に浸かってしまい、僕の体も海中へと放り出された。
直後、足裏に柔らかいものを感じた。
うわ!? 何か踏んだ! 何だ今のグニュっとした感触は!?
と思ったら足が着かない!? まずい、荷物が重い! とても持ったまま泳いでられない! むしろ沈む!
うわ!? 今度は足になんか絡み付い--
そこで僕は意識を失い、そのまま海中に沈んだ。
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