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 というわけで僕は今、巨大なクラゲの上に乗っかっている。というか、傘の部分にすっぽり埋まっている。  まだ夢の続きを見ているのだろうか。こんな巨大なクラゲ、いるわけないし。  しかし海にはまだまだ未知の生物がいるって話だし、このクラゲもまだ誰も発見していない新種なのかもしれない。そうだとしたら第一発見者である僕の名前がつくぞ。  なんて呑気に考察してる場合じゃない。完全に全身がすっぽり埋まって起き上がるどころかもがくこともできないぞ。  もしかして僕、捕まっちゃったの? 何故捕まえたのか、考えられる理由はひとつしかない。食うためだ。  いやいや待って。クラゲって人間食べるの? 海中の微生物を食べるんじゃないっけ? でも、このサイズならひょっとして……。  身動きがとれない以上、助けを呼ぶ他無い。携帯を入れていたリュックもなくなってるし、近くに人がいればいいけど……。  僕は埋まっている首に力を入れ、何とか辛うじて頭だけ持ち上げた。するとそこから見えた景色に僕の思考は一瞬停止した。
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