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陸地が、あんな遠くに……。完全に沖の方まで流されている。
そんな、嘘だろ。まさかクラゲにさらわれて遭難するなんて。仰天ニュースもんだよ。いやこのまま誰にも見つけられなきゃニュースにもならないよ。
「おーーい! 誰かーーっ! 助けてくださーーい!」
ダメ元で叫んでみたが状況が変わることはなかった。
喉が渇いた。嫌だ。こんなところで干からびて死ぬなんて。誰か……誰か助けて……。
……誰に? 僕は誰に助けて貰いたいんだ? 両親? 弟? 教師? クラスメイト?
みんな僕を、大切に思っている? いや、僕は誰にも必要とされていない存在だった。ならば今更いてもいなくてもおんなじか。
そうさ。ちょうど一人になりたいと思っていたところだったし、このままクラゲに身を任せ波に揺られてよう。
にしてもこのクラゲ、寝心地はすこぶるいいな。ピッタリ体にフィットしてるし、ひんやりしていて気持ちいいし。一体僕を、どうする気なんだろう……。
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