甘い蜜と午後3時

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「もちろん、夜のアノ声も聞こえないからな、安心しろ」 「はぁっ?」 めっちゃニヤニヤしながら言ってくるから、恥ずかしいしすげぇムカつく。 「バカじゃねぇの!昼間っから何言ってんだよ!」 とムキになりたくなる。結果的にそういうことになるだろうと想定してここに来たというのに。 ……想定してた時点で、俺もうバイセクシャルなんだろうな、うん。 「まぁ来たばかりだし、まずは部屋を決めて貰おうか。荷物もあるしな」 軽くウインクしながら言う。 「えー……そうだなぁ」 悩んだ結果、一番シンプルな部屋にすることにした。 一番寝やすそうな部屋。白で統一されているけど、大きな窓の向こうの海と空の色が反射して、全体がうっすら水色に見える部屋だった。 ベッドはいつかのホテルみたいにでかい。余裕で大人3人くらい寝られる。 「なんかまだ信じられねぇよ、この部屋本当に使っていいの?」 大型ソファも灯籠みたいな柔らかい照明も、明らかに俺の生活圏で見たことのないものばかりでソワソワする。 「構わないさ!まぁ今日は俺もここに泊めてもらうけどな」 そう言う声がすげぇ楽しそう。修学旅行みたいなノリもあるのかもしれない。 「お前がこの別荘にいるってだけで、もうとんでもなくエキサイティングな気分さ!神様に感謝するね!」 もうその感謝すらノリが軽い。 「随分安い神様だな」 「安いわけないだろう、お前を探すのにどのくらいの時間を要したことか」 オーバーリアクションで両手を広げてため息をつく。
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