甘い蜜と午後3時

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「お前にも作ってやろうか?」 ビールを飲み干したタイミングで尋ねられだけど、アクセサリーはあまり身につけないからと言ったら残念そうな顔をしていた。 「こんなに墨入れてんのに、アクセサリーまでつけたらうるさいじゃん」 「そうか?光り物1つくらい付けたっていいと思うがな」 「うーん、まぁ考えておくよ」 それよりもビール飲みたい。 次アイリッシュビールにしようかな。 「ビール持ってくる」 キッチンの冷蔵庫にギチギチに酒が詰まってるって聞いていたから、自分で取りに行く。 「あんたもなんか飲む?」 立ち上がったところで振り返る。 途端、そのまま腕を掴まれた。 びっくりして体が大きく震えた。 彼は構わず自分の方に引っ張った。 バランスを崩して、思いっきり膝の上に座ってしまう。 包まれるみたいに彼の腕に収まる。 「お前の唇から飲ませてもらえたらなんだっていいさ」 低い声でねっとりと囁かれる。 そのまま唇を塞がれ……。 そうになったけど、彼が止めた。 「……おい、どうした? 大丈夫か?」 俺があまりにもガチガチになって、小刻みに震えていたから。 「あ、いや、なんでもない」 やっぱりダメかもしれない。 キスとかハグとか大丈夫だったから、いいかと思ったんだけどな。 「飲み過ぎたのかもしれない」 適当に言って離れた。全然飲み過ぎてないし、酔ってもいない。 でもこれ以上飲むのも憚られて、結局冷えたミネラルウォーターを持ってきて飲んだ。
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