甘い蜜と午後3時

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「この眺めもまた……」 海の上には、影が出来るほど明るい満月が浮かんでいる。 遮るものは何もない。望月の歌じゃなくても、この景色が私物なんじゃないかって気分になる。 それをまた、ビールを引っ掛けながら見るのが、本当最高でして。 部屋のテラスの柵に腕を預けて眺める。海風が少し肌寒いくらい。 食後に一休みして、只今の時刻午後11時すぎ。 この頃には夕方の動揺もすっかり落ち着いていた。 シャワーも浴びて、Tシャツとボクサーパンツ一丁。こんなところでこんな格好でビール飲むのも申し訳ないと思いながら、優しい夜の景色に身を委ねた。 「いつまでも見てられる」 もう一生夜でもいいくらい。 何のストレスもなく、心穏やかにいられるだろう。 直飲みしてた瓶ビールが空いた。夕方から何本酒飲んでんだろ。ミネラルウォーター1本挟んだだけで、あとはずっと酒かもしれない。 「さすがにそろそろやめるか」 ボソッと呟いたところで、背後から声をかけられる。 「ヘイ、今なんて言ったんだ?」 ご機嫌な彼だった。思えばこいつも同じくらい飲んでるような。 「んー、もう結構飲んだなーって」 「そうだな、お前結構酒強いんだな」 「強い方かもね。でもさすがに今日はもうやめとくわ」 「ああ、また体調崩してもよくないからな」 「ああ、うん」 夕方のことを言っているんだろう。
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