甘い蜜と午後3時

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別にゲイじゃないし、誰が誰と寝ようとなんでもいいと思ってたけど、そうはっきり言われちゃうとあんまりいい気分はしない。 「はーん、そーですか」 わざと嫌味ったらしく言ってやると、少し慌てた感じで「いや、浮気じゃないからな」と言っていた。 「浮気も何も俺ら付き合ってねぇし」 「違うんだ、そうじゃなくて」 「別にいいよ」 「いや、聞いてくれ、これには訳が」 「ごめん、マジで本当にいいから。ちょっと遊んだだけだよ」 あんまり慌てるから面白くて。 お詫びの印に自分からキスして「怒ってない」と改めて話した。 「俺だって、女遊びしてたからアイコだよ」 あえて、男と寝たことは言わなかった。 「ううん……そうか」 「複雑?」 「少しな」 お互いに小さな嫉妬心みたいなものがあって、けれどそれっていうのは誰に対する何のための嫉妬心なのか、まだうまく言葉に言い表せない不思議な感覚でもあった。 「あれから、何人と寝たの?」 「恋人はいたの?」 多分、お互いになんとなく聞きたいことを、敢えて聞かずに密着する。 過去の話なんか、今この瞬間にどうでもいいことなんだから。 「今はあんただけだよ」 体をさらけ出すのに、月明かりは明るすぎる。手をつないで、部屋の中に引っ込んだ。
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