甘い蜜と午後3時

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それから、彼とは同じベッドで寄り添って眠った。時々抱きしめたり布団をかけ直してくれるのを、ちゃっかり甘えて寄り添ったり顔を埋めたりしながら。 翌朝、あんなに怯えて驚いたのが嘘みたいに、ぐっすりと眠って起き上がった。 「おはよう、大丈夫か?」 先に起きていた彼が、シェフが作り置きした朝食を温め直していた。 「あ、うん、大丈夫。昨日はごめん」 まず謝らないと、気持ちが悪かった。 多分手首がダメなんだろうな。触られるだけで、繋がれた記憶がありありと思い浮かんでくる。 (自分で触っても何ともないのに) 手首を撫りながら首をかしげる。 「どうした? 手が痛いのか?」 パンを乗せた皿を両手に持った彼が、心配そうに尋ねてくる。 「あ、ううん、そうじゃなくて」 手首のことを話すと、露骨に眉間に皺を寄せて、首をかしげた。 「うーん、なるほど。そこがスイッチになっているってことなんだな」 「多分ね。でも自分で触っても別に何ともないんだよなぁ」 「他人に触れられるのがネックなんだろうな」 食器をテーブルに置いた彼は、そのまま握手するように俺の手に触れてくる。 「……それなら、少しずつ慣らしていけばいいのかもしれない」 敏腕CEOの目が光ったように見えた。
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