甘い蜜と午後3時

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それから、彼とマンツーマンのトラウマ克服プログラムが始まった。 彼は俺にキスやハグをする都度に、手を取り、手首にキスを落としてくる。 正直怖くて嫌な気持ちもあって、彼が近づいてくるだけでゲンナリしたけど、いつも本当に軽いキスだったせいで、ろくに抵抗もしなかった。 「大丈夫か?」 彼は必ず尋ねてくる。 大丈夫には大丈夫だけど、そんなに何回もキスしてこなくていいのに、と思う。 って、そんなこと言ったら、1日に一体何回キスハグされてんだって話なんですけどね。 「ねぇ、もういいよ、そんなしなくても大丈夫だって」 一回めんどくさくなって言ったことがあるんだけど 「そう言うなよ、俺もお前の手にキスするの好きなんだから」 適当に流されてしまった。 「兄さん元気ー? バカンス楽しんでる?」 「もうヤられた?大丈夫?」 「ちょっと聞いてよ、俺ついにカノジョできたのー!兄さん日本にいたらめっちゃ自慢したのに!」 たまに後輩からどうでもいいメールが来るけど、ほぼ2人きりの空間で、たまに話ができる第三者と言えば、オネェのシェフ以外いなかった。
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