甘い蜜と午後3時

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「どー、する? 俺、抜こっか?」 ちょっと照れながら静かに尋ねると、俺の体を解放して首を横に振る。 「いや、お前のトラウマが良くなってからじゃないとダメだ」 「多分大丈夫だよ、手とか口とかでするくらいだったら。入れるのはまだ無理かもしんないけど」 「いいや、俺の中で決めているんだ、だから出来ない」 「はぁ」 なんだかそういうプライドがあるんだろう。俺を大切に思ってくれてる気持ちが、彼のプライドの添え木のようになっているのを感じて、なんだか気恥ずかしい。 「ちょっと落ち着いてくる」 彼は俺から離れて、奥の部屋に引っ込んだ。 ぽつんと取り残されたのはいいけど、扉の奥で何が行われているのか察するに余りあるもので、ただ黙って待っているのもかなり気まずかった。 (とりあえず……) 皿でも洗うか。 俺も少し頭冷やさないと。 相手できないのを申し訳なく思いながら、奴のために早く克服しないととも思う。 今更だけど、俺の中で彼の存在がだいぶ大きなものになっていることを、しみじみと、強く感じていた。 ラブかライクかで言えば、多分。 (限りなくラブ寄り) はっきり言いたくなかったのは、自分の中で抵抗と恥ずかしさが拭えなかったからだ。 男が男を好きになるなんて。 バイセクシャルを自覚したとはいえ、そう思う部分もあって引っかかっている。
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